2026年9月25日に Friday Facts #447「Factorio that You Can Touch」 が公開されました。担当は Pard、Jarosław、Fearghall の3名。今回のテーマは「手で触れるFactorio」――ゲームに登場するエンティティを3Dプリント可能なモデルとして再現し、なんと無料で配布するという嬉しい発表です。主要トピックを日本語でまとめます。
物理世界への旅 ― プロジェクトの始まり
このプロジェクトは、Space Age DLC の完成が近づいていた2024年夏に始まりました。開発チームは 3Dプリンタで有名な Prusa Research と協力してプレイテストイベントを開催し、その中で Gleba に登場する「Wriggler(ウネウネ動く敵)」の3Dプリントモデルを制作したのが発端です。
イベント後も有志が空き時間に開発を継続。いくつかの試作を経てたどり着いた核が「トランスポートベルト」でした。Jarosław がゲームの仕組みを模したグリッド(マス目)ベースのシステムを設計し、続いてインサーターのモデルも制作。最終的にモデルは、精密に押し込んで組み立てる「高精度版」と、接着や簡易プリンタ向けの「高クリアランス版」の2種類が用意されました。
完成したコレクションは、序盤に登場するエンティティを中心に 15のモデルセット・65個のモデル・247個のSTLファイル という大ボリュームになっています。
なぜ3Dプリントなのか
チームが3Dプリントを選んだ理由は「誰でも手に入れられる記念品」を作りたかったから。高価な限定コレクターズアイテムを販売するのではなく、無料でダウンロードできるモデルとして公開することで、これまで支えてくれたコミュニティへの感謝を表したかったといいます。
もう一つの狙いは、コミュニティの創造性を刺激すること。プレイヤーが独自のアレンジや解釈を加えて、これらのデザインを発展させていく様子を見るのを楽しみにしているとのことです。
Factorioの再解釈 ― 画面から現実へ
Jarosław は、デジタルのグラフィックをプリント可能なモデルへ変換する作業が想像以上に複雑だったと語ります。特に Factorio のクォータービュー(斜め見下ろし=アイソメトリック視点)が大きな壁になりました。エンティティは実際の立体形状とは違って見えるよう描かれており、マス目に収まるよう高さを調整した「見た目の錯覚」で成り立っているためです。
- サポート材の排除:サポート無しでプリントできるようパーツを分割し、後から組み合わせる設計にした。
- 視点による歪み:アイソメトリック視点のせいで見た目と実寸が食い違う。南北向きと東西向きは似て見えても、幾何学的には同一ではない。
- 隠れた形状:普段は見えない機械の裏側は「未定義」のままにできず、丸ごと設計し直す必要があった。
敵(有機体)のデザイン
Fearghall は、バイターなどの有機体モデルを担当。これらはゲーム内に全方向の回転スプライトが揃っている利点がありました。とはいえ、事前レンダリングされたデザインには目に見えない要素やテクスチャ頼みのディテールが含まれ、そのままでは3Dプリントに使えません。
直面した主な課題:
- バイターの巣(スポナー)は大幅なクリーンアップとテクスチャのベイク処理が必要だった。
- 有機体の多くは形が複雑で部品も小さく、サポート無しでのプリントは難しかった。
- エンジニアの待機ポーズはサポート無しでプリント可能。ワーム(芋虫)も90度の攻撃ポーズを除けばサポート不要。
- 走行ポーズだけはサポートが避けられなかった。
採用された工夫:
- エンジニアのバックパックを独立パーツにし、差し込み式(スロット&ピン)で接続。
- バイターの脚は上下逆さまにプリントすることで、目立つ跡(スカーリング)を最小化。
- バイターの外殻を別パーツ化し、色ごとの向きを揃えたプリントを可能に。
- 強度確保のため一部の脚を一体化。
- 接合部の凹凸を精密なクリアランス(隙間)を計算して造形。
ダウンロード方法
すべてのモデルは、3Dモデル共有サイト Printables の Wube Software プロフィールから入手できます。記事では、初期のプレイテスト参加から最終リリースまでコラボを支えてくれた Prusa の Štěpán Feik 氏への謝辞が述べられており、Prusa 側の視点をまとめたブログ記事へのリンクも掲載されています。3Dプリンタを持っている方は、ぜひ自分だけの工場ジオラマ作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回のFFFは、ゲームの中の工場を「実際に手で触れる」形へ落とし込む、遊び心あふれる取り組みでした。ベルトやインサーターをマス目に並べて自分だけのミニ工場を組み立てたり、バイターの群れを机の上に再現したり――しかも無料。ソフトウェア開発とは一味違うチームの情熱が伝わってくる内容で、コミュニティへの感謝の気持ちがよく表れた発表だと感じます。
原文:Factorio公式ブログ – Friday Facts #447「Factorio that You Can Touch」(2026年9月25日)