アップデート概要

2025年7月15日、Factorioの最新安定版となるバージョン2.0.60がリリースされました 。このアップデートでは、大規模な新要素こそありませんが、既存機能の改善やバランス調整、各種バグ修正が数多く含まれており、特にユーザーに直接影響するゲーム体験の向上に焦点が当てられています。例えば建物の回転操作を取り消す新機能や、Space Age拡張コンテンツの演出強化(BGMリマスターやゲーム内事典アイコンの刷新)、パフォーマンス最適化(大規模ブループリント配置時やMac版Metalレンダリングの負荷改善)などが盛り込まれています。また、クラッシュやデシンク関連の安定性向上や細かなUIの改善も行われており、総合的にプレイフィールのブラッシュアップが図られています 。以下では、経験者向けに各変更点を詳しく解説し、筆者としての所感も交えつつ紹介していきます。

主な変更点と新機能

  • 回転/反転操作のUndo機能追加 – 建設物や設備を誤って回転・反転してしまった場合に、それ自体を元に戻せる(Undoできる)新機能が実装されました 。従来のUndo機能は建設や解体など配置そのものの取り消しのみ対応していましたが、この変更により向きを変えてしまった操作もCtrl+Zで取り消し可能になっています。例えば、配置済みのアセンブリ機械の向きをうっかり変えて生産ラインが止まる…といったミスも即座にUndoでリカバリーできます。(所感:長年「回転にもUndoが効けばいいのに」と感じていた部分だけに、この改善は地味ながら嬉しいですね。細かな操作ミスをリカバーできることで、複雑な工場配置を弄る際のストレスが減りそうです)
  • 捕獲スポナーのスポイル処理調整 – Space Age拡張で登場する捕獲バイタースポナー(captive biter spawner)の挙動が見直され、30分経過によるスポイル(劣化)発生時に必ず廃棄スロットに送られるよう変更されました 。具体的には、プレイヤーが捕獲した敵の巣をアイテムとして長時間保管しているとビヒモスバイターに変化してしまうという腐敗(スポイル)システムがありますが、今回の調整でインベントリやコンテナ内でも例外なく正しくスポイルが処理されるようになった形です。これにより、捕獲スポナーを保管しっぱなしで腐敗を回避するような意図しない運用ができなくなり、必ず所定の時間で元の敵対オブジェクトに戻るよう保証されました。(所感:捕獲巣からバイター卵を量産するプレイでは、この変更で放置による事故が減り安心です。逆に言えばごまかしが効かなくなったので、計画的に利用する必要がありますね)
  • 弾薬タレットの要求スロット表示位置調整 – ガンタレットなど弾薬を使用するタレットのロジスティック要求スロット(補給要求アイコン)の表示位置が、タレット本体の中心寄りになるよう見た目上の配置が修正されました 。従来はタレットの土台から少しズレた位置に要求アイコンが表示されており、場合によっては複数タレットが密集した際にアイコンの位置が分かりにくいことがありました。この変更によって、画面上でタレット補給アイコンが砲台と重ならず自然な位置に配置されるようになり、ビジュアルの違和感が軽減されています。(所感:純粋に見た目の調整ですが、筆者もタレット自動補給を多用するのでアイコン位置のズレには気付いていました。今回の修正で地味なストレスがひとつ解消され、UIの完成度がさらに向上した印象です)
  • Space Age拡張BGMのリマスター – 拡張版「Space Age」のゲーム内BGMがリマスター・リミックスされ、音質やミキシングが改善されました 。開発側によれば既存曲の再調整とのことで、より洗練されたサウンドになっています。実際プレイ中に各惑星で流れる音楽を聴くと、低音や高音のバランスが取り直されて臨場感が増しているのが感じられます。特に拡張発売当初は音源が仮の状態だった曲もあったようなので、今回のアップデートで正式にクオリティアップしたBGMを楽しめるようになった形です。(所感:曲そのものは同じですが、ミックスが良くなったのか音に厚みが出て聞きごたえアップしましたね。拠点作業中についBGMに聴き入ってしまい、生産ラインの監視を忘れそうです…)
  • ファクトリオペディアのアイコン刷新 – いわゆるゲーム内事典(Factoriopedia)の項目アイコンがいくつかユニークな専用デザインに差し替えられました 。これまで一部の素材やアイテムで仮の汎用アイコンが使われていた部分が、今回の更新で固有のアイコンに置き換わり、視認性と世界観の表現力が向上しています。例えば新資源や中間素材の中には共通のプレースホルダーアイコンで判別しづらいものもありましたが、アップデート後は一覧から一目で判別可能になっているでしょう。(所感:細かい変更ですが、事典を眺めるのが好きな身としては統一感のあるアイコン表示は嬉しいです。アイコンが増えると「埋まっていく」感じがあってコレクション欲も刺激されますね)
  • ブループリント配置時のパフォーマンス改善大量のブループリントを手に持っている際のフレームレートが向上しました 。大規模な青写真を用いて建築しようとすると、表示するゴーストオブジェクト数が多いために一時的にゲームが重くなることがありました。今回の最適化により、特にブループリントを選択中(カーソルに持っている状態)の処理が軽量化されており、大規模設計図配置時のスムーズさが増しているはずです。実際、アップデート後に大きなアウトポスト用ブループリントを配置してみたところ、以前よりカーソル移動時の引っかかりが緩和されたように感じます。(所感:メガベース建設では数千タイル規模のブループリントも珍しくないので、この描画負荷軽減はありがたいです。過去にはゴースト表示だけでカクつく場面もあっただけに、小さな最適化でも積み重なると快適さが違いますね)
  • Metalレンダリングのフレームレート安定化(Mac向け) – Mac版で使用されるMetalグラフィックスバックエンドにおいて、重負荷シーンでの描画パフォーマンスとフレームレート安定性が向上しました 。開発ノートによれば、Metal利用時に特定条件下でフレームタイムがばらつく問題があったようで、レンダリング手法の改善によって忙しいシーン(例: ボット大量稼働中やエフェクト過多時)の描画性能が底上げされています。Mac環境でプレイしているユーザーにとっては、これまでより大規模工場でも滑らかなプレイ感が期待できます。(所感:私はWindows派ですが、それでもクロスプラットフォームで最適化が進むのは好印象です。Mac勢の友人も「描画が安定した」と喜んでいましたし、全てのプラットフォームで快適に遊べるのはコミュニティにとってプラスですね)

その他注目の修正点

上記以外にも、プレイヤーにとって有用な細かな改善が多数含まれています。その中からいくつかピックアップして紹介します。

  • 農業タワーの地形ルール適用 – Space Age拡張の農業タワーが、植物を植え付ける際にその植物固有の地形設置ルールを正しく尊重するよう修正されました 。これにより、水辺専用の植物を誤って他の地形に植えてしまうようなことが防がれ、無駄な種消費が減ります。
  • バッファチェストの不足数カウント修正要求(バッファ)チェスト内の在庫が、サーキットネットワークで「不足アイテム数」を読み取る際に二重に計上されてしまっていたバグが修正されました 。このバグ修正により、ロジスティックネットワーク経由で正確な不足カウントが得られるようになり、回路制御の精度が向上します。
  • クラフティングキューUIアイコンの改善 – 生産キュー(クラフティングキュー)の開閉用アイコン表示が調整・改善され、GUI上で視覚的に分かりやすくなりました 。地味な部分ですが、クラフト待ちリストを折りたたむ操作が直感的に行えるようになります。
  • プロメチウム科学パックの説明追加 – Space Ageで追加されたプロメチウム科学パックに、ゲーム内説明文(ツールチップ)が表示されるようになりました 。以前は説明が空欄となっていましたが、アップデートにより正式な解説が付記され、新要素の理解がしやすくなっています。

(所感:いずれも小さいながら痒い所に手が届く修正で、遊びやすさが着実に向上していると感じます。特に農業タワー関連の修正などは拡張プレイ時に「おや?」と思っていた挙動だったので、きちんと改善されて安心しました)

おわりに

以上、Factorio 2.0.60の主な変更点について、技術的な背景とプレイヤー視点での所感を交えて解説しました。今回のアップデートは派手さこそありませんが、細部の磨き上げによって安定性と快適性を高める内容になっています。長く遊んでいるほど「ここが直ればなぁ」と感じていた点が少しずつ改善されていくのは嬉しいものです。開発元Wube Softwareの継続的なサポートにより、Factorioは2.x世代でも着実に成熟度を増しています。経験者の皆さんもぜひ最新版にアップデートして、その違いを実感してみてください。きっと、より快適になったオフ世界での工場運営に没頭できるはずです!

【参考資料】公式フォーラムの更新履歴 およびFactorio公式Wikiのバージョン履歴ページ など. また、一部Space Age拡張要素に関する説明にはゲーム内事典の情報を参照しました。