Factorioの世界では、資源を採掘し、加工し、製品を組み立てる一連のプロセスを自動化することがゲームの核となります。この自動化された巨大な工場を効率的に設計することは、ゲームを進める上で非常に重要です。様々な設計思想が存在しますが、その中でも特に多くのFactorio初心者に採用され、広く知られているのが「メインバス」方式です。
メインバスとは何か?
メインバスは、工場内で頻繁に使用される主要な素材や中間生産物(鉄板、銅板、鋼鉄板、緑基板、赤基板など)を、複数のベルトコンベアで一箇所に集約し、幹(バス)のように流す設計手法です。そして、各生産ライン(例えば、ギア生産ラインやサイエンスパック生産ライン)は、この幹から必要なアイテムを分岐させて供給を受けます。
この方式の最大の目的は、工場全体に秩序をもたらし、「スパゲッティ工場」、つまりアイテム輸送用のベルトやインサーターが無計画に配置され、複雑に入り組んでしまう状態を防ぐことです。メインバスを採用することで、どこに何が流れているかが一目で分かりやすくなり、計画的な工場拡張や Factorio automation の構築が容易になります。
メインバスのメリット
メインバス方式には、特にゲーム序盤から中盤にかけて多くのメリットがあります。
- **構造の明確化:** 主要アイテムの流れが一元化されるため、工場の全体像を把握しやすくなります。これにより、次に何をどこに作るべきか、どのラインの生産能力を増強すべきかといった判断がしやすくなります。
- **計画性の促進:** バスを構築する際、将来必要になるであろうアイテムや、それぞれのアイテムにどれくらいの帯域(ベルトの本数)を割り当てるかを考慮する必要があります。この初期段階での計画が、後のスムーズな拡張につながります。
- **アイテム供給のシンプルさ:** 新しい生産ラインを作る際、必要なアイテムがバス上にあれば、そこから分岐させるだけで供給ラインが完成します。これは特に Factorio Beginner にとって、複雑な供給網をゼロから設計する手間を省く大きな助けとなります。
- **拡張性(限定的):** バスに将来のアイテム用の空きラインを設けておけば、後から新しいアイテムをバスに合流させたり、既存アイテムの帯域を増やしたりといった拡張が比較的容易に行えます。
メインバスのデメリットと注意点
一方で、メインバス方式にもいくつかのデメリットと注意すべき点があります。
- **広大なスペースが必要:** 多数のベルトコンベアを並べるため、工場敷地のかなりの部分をバス自体が占有します。特に、多くの種類のアイテムを流したり、それぞれの帯域を太くしたりすると、バスの幅はどんどん広がり、工場全体が横長になりがちです。
- **ベルトの飽和問題:** バスの始点から終点に向かうにつれて、アイテムは分岐によって消費されていきます。生産能力が不足しているとバスのベルトがアイテムで満たされず(飽和せず)、逆に生産能力が高すぎたり、下流での消費が少なかったりすると、バスの終端までアイテムが届きにくくなることがあります。特に長距離の輸送では、ベルトの輸送能力がボトルネックになる可能性があります。
- **非効率な部分:** バスの始点近くで作られるアイテムを、バスの終点近くで使用する場合、アイテムはバスの全長を流れることになり、輸送距離が長くなります。これは Factorio Efficiency の観点からは非効率と言えます。
- **初期計画の重要性:** バスの幅や流すアイテムの種類を初期段階で誤ると、後からの修正が困難になる場合があります。
メインバス構築のヒント
メインバスを効果的に構築するためには、いくつかのポイントがあります。
- **バスの幅:** 将来的に必要になりそうなアイテム(例えば、全種類のプレート、緑/赤/青基板、プラスチック、硫黄、電池など)を考慮し、ある程度の余裕を持ったベルトの本数(例えば、各アイテム4本ずつなど)を確保することをおすすめします。空のラインを設けておくのも良い方法です。
- **アイテムの追加:** バスにはまず鉄板、銅板、鋼鉄板といった基本的な素材を流し始め、ゲームの進行に合わせて中間生産物を順次合流させていくのが一般的です。
- **分岐方法:** バスからアイテムを分岐させる際は、スプリッターを活用します。バスの流れを阻害せず、必要量を正確に分岐させるための定番パターンがいくつか存在し、Factorio blueprint として共有されています。
- **ベルトの種類:** ゲームが進むにつれて、より高速な赤ベルト、青ベルトが登場します。バスの輸送能力が不足してきたら、上位のベルトにアップグレードすることで対応できます。
まとめ
メインバス方式は、Factorioにおける工場設計の定番であり、特に初心者にとっては工場の構造を理解しやすく、計画的な自動化を進める上での強力な味方となります。スパゲッティ工場化を防ぎ、ある程度の拡張性をもたらす一方で、広大なスペースが必要であったり、ベルトの飽和に注意が必要であったりといったデメリットも存在します。
メインバスのメリット・デメリットを理解し、自分の工場規模やプレイスタイルに合わせて適切に採用することで、 Factorio の奥深い工場設計をより楽しむことができるでしょう。もちろん、メインバス以外にも、モジュール式工場や列車ネットワークを活用した分散型工場など、様々な設計の流儀が存在します。 Factorio Efficiency を追求する旅は続きます。